三陸鉄道リアス線 吉里吉里駅 詳細・周辺情報・感想
駅概要
三陸鉄道リアス線に位置する吉里吉里駅は、岩手県上閉伊郡大槌町にあり、古くから「吉里吉里」という響きの美しさで知られる地域に根差した駅です。
所在地とアクセス
所在地は、〒028-1111 岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里。三陸鉄道リアス線(旧:三陸鉄道南リアス線、北リアス線)の一部として運行されており、盛駅(釜石市)と久慈駅(久慈市)を結ぶ路線上にあります。
公共交通機関でのアクセスは、三陸鉄道リアス線を利用するのが唯一の方法です。最寄りの主要駅は、盛駅や釜石駅、久慈駅などが挙げられます。周辺にはバス路線も限定的に運行されていますが、鉄道でのアクセスが中心となります。
自動車でのアクセスの場合、東北自動車道を利用し、盛岡南インターチェンジや花巻空港インターチェンジから国道45号線を経由して現地へ向かうルートが一般的です。ただし、冬場は積雪や凍結に注意が必要です。
駅の構造と設備
吉里吉里駅は、
- 無人駅
- 単式ホーム1面1線
という、簡素ながらも趣のある造りとなっています。ホームは地上駅で、海風を感じながら列車の到着を待つことができます。駅舎は木造で、地域に溶け込むような温かみのあるデザインが特徴です。待合室はありますが、トイレや売店などの設備は設置されていません。JR東日本などの大規模駅と比較すると設備は限られますが、それゆえに静かで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
開業と歴史
吉里吉里駅は、1935年(昭和10年)10月14日に日本国有鉄道(国鉄)の駅として開業しました。その後、1984年(昭和59年)4月1日に国鉄の特定地方交通線であった釜石線、山田線、岩泉線、十和田湖線、花輪線、大船渡線の一部などが三セク化される中で、岩手県などが出資して設立された第三セクター鉄道である三陸鉄道に転換されました。
三陸鉄道は、東日本大震災からの復興のシンボルとしても、地域住民や観光客にとって大切な存在となっています。吉里吉里駅も、震災からの復旧・復興の過程を経て、現在も多くの人々に利用され続けています。
周辺情報
吉里吉里海岸
駅名の由来ともなっている吉里吉里海岸は、当駅の最も近い観光スポットです。夏場には海水浴場としても賑わい、透明度の高い海と白い砂浜が広がります。波は比較的穏やかで、家族連れでも安心して楽しめます。
海岸沿いには、
- 遊歩道
- 休憩所
などが整備されており、散策やピクニックに最適です。潮騒を聞きながらのんびり過ごす時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれるでしょう。また、秋には紅葉も楽しめ、四季折々の美しい景色を堪能できます。
大槌町立 吉里吉里小学校
駅のすぐ近くには、吉里吉里小学校があります。この学校は、そのユニークな校歌「赤いくらげ」でも知られています。校歌に登場する「くらげ」は、吉里吉里海岸に生息するクラゲをモチーフにしており、地域に根差した教育が行われていることが伺えます。校門から海を望む風景は、どこか懐かしく、心温まる光景です。
小鎚神社
駅から少し歩いた高台には、小鎚神社があります。地域の人々からは「こづちじんじゃ」と呼ばれ、古くからこの地域の鎮守として崇敬されています。境内からは、吉里吉里の町並みと太平洋を一望できる眺望が広がっており、静かで神聖な雰囲気を感じることができます。
大槌町
吉里吉里駅がある大槌町は、漁業が盛んな町です。特に、
- タコ
- イカ
- ウニ
などが有名です。駅周辺の飲食店では、新鮮な海の幸を味わうことができます。また、震災からの復興に向けて、地域全体で力を合わせ、新しい町づくりが進められています。
感想・体験談
静寂と潮騒
吉里吉里駅に降り立つと、まず最初に感じるのはその静けさです。都会の喧騒から離れ、耳に届くのは波の音と鳥の声だけ。ホームにたたずみ、遠くに見える海を眺めていると、心が洗われるような感覚に陥ります。
無人駅であることも、この駅の魅力を高めている要因の一つでしょう。駅員さんとのやり取りがない分、自分自身のペースで駅と周囲の自然をゆっくりと味わうことができます。
「吉里吉里」という響き
「吉里吉里」という駅名そのものが持つ響きは、訪れる人々の想像力を掻き立てます。この地を訪れる前から、その名前の美しさに惹かれる人も少なくありません。実際に訪れてみると、その名の通り、どこか幻想的で、穏やかな雰囲気が漂っているように感じられます。
復興への道のり
東日本大震災で甚大な被害を受けたこの地域において、吉里吉里駅とその周辺は、復興の歩みと共にありました。震災後、三陸鉄道は一時運休を余儀なくされましたが、地域住民の強い思いと支援によって、多くの区間が復旧・復興しました。駅の構内や周辺の景色には、震災の爪痕が残る場所もありますが、それ以上に、人々の力強さと希望を感じさせられます。
訪れる際には、単に観光地として楽しむだけでなく、この地域の歴史や復興への道のりに思いを馳せることも大切だと感じました。
地元の方々との交流
無人駅とはいえ、偶然乗り合わせていた地元の方々や、駅周辺で作業をされていた方々との短い交流も、旅の思い出になります。温かく、気さくな地元の方々との触れ合いは、旅をより一層豊かなものにしてくれます。
まとめ
三陸鉄道リアス線 吉里吉里駅は、その美しい駅名、静寂な駅舎、そして豊かな自然に囲まれた隠れた名所です。吉里吉里海岸の美しい景観、地域に根差した小学校や神社など、訪れる人々を魅了する要素が数多くあります。
無人駅ならではの落ち着いた雰囲気と、潮騒の心地よい音は、日々の疲れを癒し、心をリフレッシュさせてくれるでしょう。また、東日本大震災からの復興という背景を持つこの場所を訪れることは、単なる観光にとどまらず、生命の力強さや地域の絆の大切さを改めて感じさせてくれます。
静かな海辺の風景を愛でたい方、ノスタルジックな鉄道旅を楽しみたい方、そして復興への希望を感じたい方にとって、吉里吉里駅はきっと忘れられない体験を提供してくれるはずです。車窓から流れる景色を眺めながら、のんびりと三陸鉄道の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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