健軍交番前

熊本市の東部に位置し、活気ある健軍商店街(ピアクレス)へのアクセス拠点となる熊本市電B系統「健軍交番前(けんぐんこうばんまえ)」電停。市民の日常的な足として、また地域の賑わいを支える重要な停留場として機能しています。

1. 電停の基本情報

名称: 健軍交番前(けんぐんこうばんまえ)

英語表記: Kengun Kobanmae

電停番号: 18

所属路線: 熊本市交通局 市電健軍線

運行系統: B系統(上熊本 – 健軍町)

所在地: 熊本県熊本市東区若葉一丁目

熊本県道28号熊本高森線(通称:電車通り)上の併用軌道に設置されています。

構造: 相対式ホーム2面2線

道路の中央に、上熊本方面行き(西向き)と健軍町行き(東向き)のホームがそれぞれ独立して設置されています。

座標: 北緯32度47分19秒 東経130度45分35秒(おおよその位置)

運賃: 熊本市電は全線均一運賃です(2024年6月現在:大人180円、小児90円)。

乗車時に運賃箱に現金で支払うか、ICカード(くまモンのIC CARD、全国相互利用可能交通系ICカード)をタッチして乗車し、降車時に再度タッチします(一部車両を除く)。降車時に支払う方式が基本です。

隣の電停:

健軍町方面(東隣):健軍町 (19) – 終点

上熊本方面(西隣):健軍校前 (17)

2. 電停の歴史:地域と共に歩んだ道

健軍交番前電停は、熊本市電健軍線の延伸と共に誕生し、地域の発展を見守ってきました。

健軍線の開通と電停の設置:

熊本市電の路線網が拡大していく中で、健軍方面への延伸が計画されました。

1945年(昭和20年)5月6日、水前寺駅前から健軍町までの区間(現在の健軍線)が開通します。この際に、現在の健軍交番前電停も開設されたと考えられますが、当初の名称や正確な位置については、戦中戦後の混乱期でもあり、資料によって異なる可能性や、変遷があった可能性も否定できません。

当時の名称が「健軍交番前」であったかは定かではありません。電停名は周辺のランドマークや状況に応じて変更されることがあります。交番の設置・移転時期なども関連する可能性があります。

周辺地域の発展と電停:

戦後、熊本市の市街地は東へ拡大し、健軍地域は住宅地として急速に発展しました。また、陸上自衛隊健軍駐屯地の存在も地域の人口増加に寄与しました。

これに伴い、市電健軍線と健軍交番前電停の利用者は増加し、地域住民の重要な足としての地位を確立していきます。

健軍商店街の隆盛:

電停のすぐそばに広がる健軍商店街は、戦後の復興期から地域の商業の中心として発展しました。アーケード(ピアクレス)の設置などを経て、多くの買い物客で賑わうようになり、健軍交番前電停はその玄関口としての役割を担うようになります。

モータリゼーションと市電:

昭和30年代後半から40年代にかけて、全国的にモータリゼーションが進展し、路面電車は渋滞の原因と見なされ、廃止される動きが加速しました。熊本市電も一部路線(幹線、春竹線、坪井線など)が廃止されましたが、市民の強い存続運動や代替交通機関確保の難しさなどから、現在の2系統(A系統・B系統)は存続しました。健軍交番前電停も、その存続路線上の電停として残りました。

近年の改修とバリアフリー化:

近年、熊本市電では利用促進と利便性向上のため、電停の改修やバリアフリー化が進められています。健軍交番前電停も、ホームのかさ上げやスロープ設置など、超低床電車の導入に対応した改良が行われています(詳細は後述)。

3. 運行状況:都心と東部を結ぶB系統

健軍交番前電停は、B系統の電車のみが停車します。

運行系統: B系統(上熊本 – (辛島町経由) – 健軍町)

上熊本駅から出発し、熊本駅前、辛島町(乗り換え拠点)、通町筋(中心市街地)、水道町、水前寺公園などを経由して、終点の健軍町に至る系統です。

主な行き先:

健軍町方面(東行き): 次の電停が終点の健軍町です。

上熊本方面(西行き): 健軍校前、動植物園入口、水前寺公園、交通局前、味噌天神前、水道町、通町筋、熊本城・市役所前、辛島町、洗馬橋、新町、段山町、杉塘、本妙寺入口、県立体育館前、上熊本。

運行頻度:

平日・土日祝ともに、日中は概ね7~10分間隔で運行されており、比較的待ち時間は短いです。

朝夕のラッシュ時はさらに増便され、利用しやすくなっています。

早朝・夜間は運行間隔が長くなります。

所要時間(目安):

健軍町:約2分

水道町:約20分

通町筋:約22分

辛島町:約28分

熊本駅前(A系統へ乗り換え):約35~40分(辛島町での乗り換え時間含む)

上熊本:約45分

※所要時間は交通状況(特に併用軌道上の自動車交通)により変動します。

始発・最終電車:

健軍町発の上熊本方面行き始発は午前6時頃、上熊本発の健軍町行き最終(健軍交番前着)は午後11時頃が目安となります。正確な時刻は熊本市交通局の公式サイトや時刻表で確認が必要です。

低床車両(超低床電車):

熊本市電では、バリアフリー対応の超低床電車(0800形、9700形、COCORO)の導入が進んでいます。健軍交番前電停のホームも低床車両に対応しており、車椅子やベビーカー利用者、高齢者の方もスムーズに乗降できます。

低床車両の運行時刻は、熊本市交通局のウェブサイトやアプリで確認できる場合があります。

4. 周辺施設・環境:活気ある商店街と住宅地の接点

健軍交番前電停の周辺は、熊本市東部の地域拠点として、商業施設、公共施設、住宅地が混在するエリアです。

ランドマーク:

熊本東警察署 健軍交番: 電停名の由来となっている施設。電停のすぐ南側に位置し、地域の安全を見守っています。

健軍商店街(ピアクレス): 電停の南側に広がる、約600メートルにわたる熊本市最大級のアーケード商店街。電停はこの商店街への主要なアクセスポイントの一つです。

特徴: 生鮮食品店、衣料品店、日用品店、飲食店、惣菜店、和菓子店、クリニック、銀行など、多種多様な約150店舗が軒を連ねています。昔ながらの個人商店と新しい店舗が混在し、活気があります。

イベント: 定期的に夜市(サンロード夏祭りなど)や様々なイベントが開催され、多くの人で賑わいます。

電停との関係: 電停からアーケード入口までは徒歩すぐ(横断歩道を渡る)であり、買い物客の利用が非常に多いです。

公共施設:

熊本市東区役所 託麻総合支所(旧 託麻総合支所、東部まちづくりセンター):電停から東へ徒歩数分。各種行政手続きが行えます。

熊本市立健軍文化ホール:託麻総合支所に隣接。コンサートや演劇などが開催されます。

健軍地域コミュニティセンター

熊本市立図書館 植木図書館(移動図書館の巡回ポイントになる可能性)

江津湖(下江津湖):南西方向へ少し離れるが、散策やレジャーの範囲内。

商業施設:

商店街内部: 上述の通り多数。スーパーマーケット(サンリブ健軍など)、ドラッグストアも複数あります。

電停周辺: コンビニエンスストア、銀行(肥後銀行健軍支店、熊本銀行健軍支店など)、郵便局(熊本健軍郵便局)、飲食店(チェーン店、個人経営店)、各種サービス業の店舗が点在しています。

医療機関:

健軍商店街内や周辺地域には、内科、歯科、眼科、整形外科など、多くのクリニック・医院が存在し、地域医療を支えています。

教育機関:

熊本市立健軍小学校

熊本市立湖東中学校

周辺には学習塾なども見られます。

住宅地:

電停周辺は、古くからの戸建て住宅と、比較的新しいマンションやアパートが混在する住宅地が広がっています。

単身者からファミリー層まで、多様な住民が暮らしています。

道路状況:

電停が設置されている熊本県道28号熊本高森線は、市内中心部と東部を結ぶ主要な幹線道路であり、交通量は多いです。特に朝夕は渋滞が発生しやすい区間です。

健軍商店街周辺の道路は、歩行者や自転車の通行も多く、時間帯によっては混雑します。

5. 交通結節点としての機能:市電とバスの連携

健軍交番前電停は、市電と路線バスとの乗り換え拠点としても機能しています。

バス停との接続:

電停のすぐ近く(県道28号線沿いの歩道)に、「健軍交番前」バス停が設置されています。

停車するバス会社:

九州産交バス

熊本都市バス

主なバス路線:

市内中心部(桜町バスターミナル、通町筋など)方面

熊本県庁方面

木山方面(益城町方面)

秋津・沼山津方面

戸島・長嶺方面

小楠・楠団地方面

(その他、地域コミュニティバスなどが運行されている可能性もあります)

乗り換え: 市電とバスを乗り継ぐことで、市電だけではアクセスできないエリアへの移動が可能になります。特に、益城町方面や、東区内のより細かな地域へのアクセスにバスが利用されます。ICカードを利用した乗り継ぎ割引が適用される場合があります。

タクシー: 電停付近でタクシーを拾うことは比較的容易ですが、専用のタクシー乗り場は常設されていない可能性があります。商店街周辺や主要道路沿いで流しのタクシーを見つけやすいでしょう。

駐輪場: 電停自体に大規模な駐輪場はありませんが、商店街周辺などに一時利用可能な駐輪スペースが設けられている場合があります。通勤・通学での「サイクルアンドライド」のニーズも考えられます。

6. 利用状況:地域の生活を支える電停

健軍交番前電停は、様々な目的を持つ人々によって利用されています。

主な利用者層:

地域住民: 周辺に住む人々の通勤、通学、日常の買い物、通院などのための利用が最も多いと考えられます。

健軍商店街への買い物客: 市内各地から商店街を目指して市電を利用する人々。特に昼間や土日、イベント開催時に多く見られます。

通勤・通学者: 市内中心部や上熊本方面へ向かう人々、また周辺の学校へ通う生徒・学生。

バスへの乗り換え客: 市電とバスを乗り継いで目的地へ向かう人々。

乗降客数の傾向:

正確な統計データは公開状況によりますが、終点の一つ手前であり、大規模商店街の最寄りであることから、健軍線内でも比較的乗降客数の多い電停の一つと推測されます。

時間帯による変動が大きく、朝夕の通勤通学ラッシュ時、昼間の買い物時間帯、商店街のイベント開催時などに利用が集中する傾向があります。

電停の雰囲気:

日中は買い物客や地域住民で賑わい、活気のある雰囲気です。商店街のアーケードが近いため、人の流れが常にあります。

朝夕は通勤・通学客で混雑します。

7. 電停の設備とバリアフリー

利用者の安全性と利便性を考慮した設備が整えられています。

ホーム構造:

幅は標準的ですが、ラッシュ時などは混雑することがあります。

上屋(屋根): ホームの一部には雨や日差しを避けるための上屋が設置されています。

ベンチ: 待合用のベンチが設置されています。

案内表示: 電停名、時刻表、路線図、運賃表などが掲示されています。

広告: ホームの柵などには、地域の店舗や企業の広告が見られます。

バリアフリー対応:

かさ上げとスロープ: 超低床電車の導入に合わせ、ホームのかさ上げ工事が行われ、車道からホームへ緩やかなスロープが設置されています。これにより、車椅子やベビーカー利用者も比較的スムーズにホームへ上がることができます。

点字ブロック: 視覚障がい者のための点字ブロックが設置されています。

電光掲示板・音声案内: 車両接近を知らせる電光掲示板や音声案内システムが導入されている場合があります(最新状況は要確認)。

課題: 道路中央にあるため、車道(特に自転車やバイク)との錯綜には注意が必要です。横断歩道を安全に渡る必要があります。

安全対策:

ホームドアは設置されていません。電車の接近・発車時には注意が必要です。

監視カメラが設置されている可能性があります。

8. 健軍線・B系統における位置づけ

健軍交番前電停は、路線内で重要な役割を担っています。

健軍線の主要電停: 終点・健軍町のすぐ手前に位置し、健軍地区の中心部へのアクセスを担う重要な電停です。

商業拠点へのアクセス: 熊本市東部最大の商店街である健軍商店街(ピアクレス)への最寄り電停として、地域経済の活性化にも貢献しています。

生活路線としての役割: 周辺住民の日常的な移動手段として、欠かせないインフラとなっています。

B系統の一部: 上熊本から健軍町までを結ぶB系統の一部として、市内中心部と東部住宅地を結ぶ役割を果たしています。

9. 利用する上でのTips、注意点

乗り場の確認: 上熊本方面(市内中心部方面)へ行く場合は西側のホーム、健軍町へ行く場合は東側のホームから乗車します。電停の案内表示や電車の行き先表示をよく確認しましょう。

乗降方法: 後ろ(または中央)のドアから乗車し、前のドアから降車するのが基本です。降車時に運賃を支払います。ICカード利用者は乗車時と降車時に専用のリーダーにタッチします。

バス乗り換え: バスに乗り換える場合は、電停近くのバス停の位置と時刻表を事前に確認しておくとスムーズです。乗り継ぎ割引を利用する場合は、ICカードの利用方法を確認しましょう。

横断時の注意: 電停は道路中央にあるため、ホームへのアクセスやホームからの移動の際は、信号のある横断歩道を利用し、左右の車両(自動車、自転車、バイク)に十分注意してください。

雨天時: 上屋(屋根)の範囲は限られているため、雨の強い日や乗降客が多い時間帯は濡れる可能性があります。傘などの雨具を準備しておくと良いでしょう。

イベント時の混雑: 健軍商店街で大きなお祭りやイベントが開催される際は、電停や周辺道路が大変混雑することが予想されます。時間に余裕を持って利用するか、迂回ルートを検討する必要があるかもしれません。

10. 今後の展望・課題

健軍交番前電停を取り巻く環境も変化しており、今後の展望と課題が考えられます。

周辺開発の影響: 健軍地区では、マンション建設や商業施設の再開発などが進む可能性があり、それに伴い電停の利用者数や周辺の交通環境が変化する可能性があります。

バリアフリー化のさらなる推進: ホームのかさ上げやスロープ設置は行われていますが、視覚障がい者向けの音声案内強化や、より分かりやすい情報提供など、ソフト面でのバリアフリー化の向上が期待されます。

安全対策の強化: 交通量の多い道路上の電停であるため、歩行者や利用者の安全を確保するための対策(注意喚起表示の強化、ガードレールの改良など)が継続的に求められます。

地域連携: 健軍商店街や地域コミュニティと連携し、市電利用を促進するイベントや企画(例:市電利用での割引サービスなど)を行うことで、地域の活性化と公共交通の利用促進に繋げることが考えられます。

LRT化構想との関連: 熊本市全体でLRT(次世代型路面電車システム)化の議論が進む中で、健軍線や健軍交番前電停が将来的にどのように位置づけられ、改良されていくのか注目されます。高速化や定時性向上、さらなる利便性向上が期待される一方、インフラ整備には課題もあります。

結び

熊本市電B系統「健軍交番前」電停は、単なる通過点ではなく、熊本市東部の活気ある日常と深く結びついた存在です。歴史ある健軍商店街への玄関口として賑わいを見せ、地域住民の通勤・通学・買い物を支える生活の基盤となっています。

毒を持つ魚の名にも使われる「健軍(ケングン)」の名を冠するこのエリアで、電停はこれからも安全・安心な地域の足として、人々の暮らしと共に走り続けることでしょう。

超低床電車の導入やバリアフリー化が進む中、今後どのように進化していくのか、地域の発展と共に注目していきたい電停の一つです。

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